とある國のヒメ
「・・・ん。」
私はまた眠っていたようだ。
前とは違い、とてもすっきりした気分。
「よく寝た~。」
「寝すぎ。」
間髪あたえず、起きたすぐの私に嫌味を言ってくる。
「え、ちょっと他に何かいうことあるでしょっ。」
確かに寝てばっかりだけど・・・。
「んじゃ、そろそろ移動しますか。」
移動?
「どこに?」
「・・・鹿央国との国境へ。」
鹿央国との国境って、カイが前に兵士として旅立ったところよね。
なぜそこに?
「危なくないの?城の兵士に見つかったら・・・。」
「大丈夫です。それに国境といっても、その手前にある小さな山村だ。そこにいるのはみな信頼できるものばかり。頼れるものはそれしかない。」
カイが言うなら大丈夫そうね。
「うん、わかった。」
「そうだ、これかぶっててください。」
大きな布を私に放り投げてきた。
頭もかくれるマント?
「ありがと、でも私寒くないし平気だよ。」
「いや、顔やその髪をできるだけ隠せるように。」
「私の髪?」
顔は分かるけど・・・私の髪?
私の髪は背中まであるロングヘア。
少しウェーブがかかっている、桃色の髪。
髪色はお母様の遺伝だ。
「その髪色は王族、皇族の証。できるだけ目立たせないほうがいい。」
私は自分の髪をつまんで、目の前までもってきた。
桃色の髪が太陽の光にあたる。
「・・・うん。」
私は手をはなし、マントを頭からすっぽりとかぶった。