とある國のヒメ
紫の髪の少年
「ねぇ、カイあとどのくらいで目的地に着くのー?」
山道には慣れているとは言ったが、やはりきつい。
だいぶ歩いたが、景色は変わらず、木、木、木。
「そうですね。まぁ休み休み行ってあと半月くらいじゃないですか。」
「へぇ・・・って半月!?」
そんなにかかるの?
「結構遠いですからね。しかも極力誰にも見つからない道を選んでるし・・・。」
こちらも振り向かず、足も止めずに私に言った。
「はぁ・・・。」
これからの道のりを考えると、ついため息が出てしまった。
「そろそろ休みます?日も暮れてきたし。」
歩くのに夢中で気にしていなかったけど、辺りはもう薄暗い。
向こうの木の茂みから何か出てきそうで怖い。
・・・どこかで梟がないている。
「休む・・・。あ、あそこに洞窟があるからそこで寝ない?」
薄暗くてよく見えないが、少し進んだところに洞窟らしきものが見えた。
「あー。俺ちょっと中見てきます。」
「私もいく!」
「危ないから外で待っててください。」
えー。
「・・・わかった。」
そういってカイは洞窟の中に入っていった。
数分くらいたつと、カイの声が聞こえたので私も中に入る。
カイは慣れた様子でそのあたりにあった木に火をつけ、たき火を完成させた。
・・・すごい。
「どこで習ったの?」
「これからいく目的地ですよ。野宿の心得はひととおり習いました。」
「すごーい!」
そのあとはカイが作ってくれたご飯を食べ、
「さ、明日に備えて寝といてください。」
と言われたので、マントにくるまって寝ることにした。
洞窟の中は風もなく温かい。
・・・その日は幸せな夢を見ることができた気がした。