僕らが今いる今日は
授業が終わるとすぐに、望はわたしのところに来た。
「相澤くん、真思に今度の試合観に来てほしいんだって」
「…は?」
予想外の名前に、間抜けな返事しか返せなかった。
ぎこちない間が開いた。
嫌な予感がした。
相澤と最後に話をしたのは、先週の月曜だった。
わざわざ一組の教室まで、以前に美術室で勝手に怒ってわたしを不機嫌にさせたことを謝りに来た。
意外と律儀なヤツだったんだな、といまさら思う。
思うんだけども。
試合観戦に誘われた理由に心当たりがない。
「なんで?」
「わかんないよ。さっきメールがきたから」
ほら、と望はケータイのメールボックスを見せた。
受信したのは授業中だったらしい。
二人とも授業中に何をやっているんだ。
自分だって授業をろくに聞いていなかったわけだから、人のこと言えないんだけど。
「相澤くんて…」
声が震えている。
怒ってる。
「相澤くんって、真思のこと、好きなんじゃない?」
思わず絶句して、椅子からお尻がずり落ちそうになった。
そんなわけないじゃない。
ありえないって。
「それはないでしょ。ありえないよ」
「なんで?なんでありえないの?
だって、じゃあなんで真思のこと誘ってるの?
この前だって、わたしと話してたのに、真思のほうばっかり気にしてたよ?」
望は一気に言って、最後はため息に苦笑いを混ぜた。
わたしが黙っていると、望は気まずそうに「ごめん。八つ当たり」と小さく吐き出して、あはっと、おどけたように笑った。
わたしも苦笑いを返した。
ほかにどうしたらいいのか、わからなかった。
「どうする?行くでしょ?
わたしも行きたいから、真思も付き合ってよ」
頷いてしまった。
断れない、これは。
これからも望とうまくやっていこうと思うなら、ここは現実的な妥協点だ。
今度の週末は、本当はやりたいことがあった。
勉強しなくちゃいけない。
だけど、それを言ったら、望がどんな顔するかくらいわかる。
望ならすっごく分かりやすく無理して笑う、絶対に。
これでまた成績に差が開く、なんてことは考えないことにした。
とりあえず、今は。
「相澤くん、真思に今度の試合観に来てほしいんだって」
「…は?」
予想外の名前に、間抜けな返事しか返せなかった。
ぎこちない間が開いた。
嫌な予感がした。
相澤と最後に話をしたのは、先週の月曜だった。
わざわざ一組の教室まで、以前に美術室で勝手に怒ってわたしを不機嫌にさせたことを謝りに来た。
意外と律儀なヤツだったんだな、といまさら思う。
思うんだけども。
試合観戦に誘われた理由に心当たりがない。
「なんで?」
「わかんないよ。さっきメールがきたから」
ほら、と望はケータイのメールボックスを見せた。
受信したのは授業中だったらしい。
二人とも授業中に何をやっているんだ。
自分だって授業をろくに聞いていなかったわけだから、人のこと言えないんだけど。
「相澤くんて…」
声が震えている。
怒ってる。
「相澤くんって、真思のこと、好きなんじゃない?」
思わず絶句して、椅子からお尻がずり落ちそうになった。
そんなわけないじゃない。
ありえないって。
「それはないでしょ。ありえないよ」
「なんで?なんでありえないの?
だって、じゃあなんで真思のこと誘ってるの?
この前だって、わたしと話してたのに、真思のほうばっかり気にしてたよ?」
望は一気に言って、最後はため息に苦笑いを混ぜた。
わたしが黙っていると、望は気まずそうに「ごめん。八つ当たり」と小さく吐き出して、あはっと、おどけたように笑った。
わたしも苦笑いを返した。
ほかにどうしたらいいのか、わからなかった。
「どうする?行くでしょ?
わたしも行きたいから、真思も付き合ってよ」
頷いてしまった。
断れない、これは。
これからも望とうまくやっていこうと思うなら、ここは現実的な妥協点だ。
今度の週末は、本当はやりたいことがあった。
勉強しなくちゃいけない。
だけど、それを言ったら、望がどんな顔するかくらいわかる。
望ならすっごく分かりやすく無理して笑う、絶対に。
これでまた成績に差が開く、なんてことは考えないことにした。
とりあえず、今は。