僕らが今いる今日は
ときどき、どうしてこういうタイミングで、と思うことがある。
今がまさにそれ。
視界の端に、坂高―坂咲高校、の制服が映った。
間違いない。
黒のジャンパースカートに、リボンは赤だ。
しかも女の子の二人連れだ。
もし彼女たちに今の状況を見られたらどう映るだろう。
もしかしなくても相澤がわたしに告白してるように見えるかもしれない。
相澤は学校では有名人、きっとそれなりにファンもいるだろうし、そしたら噂もすぐ回る。
まずい。サイテーだ。
とっさにほうじ茶シューを取り出して、相澤に押し付けるようにして渡した。
「ありがとう!あっ、お釣りはいらないから。本当にありがとう!」
相澤はそう言ってわたしの手のひらに小銭を置くと、走って行ってしまった。
小銭を確認すると、50円玉が一枚と100円玉が二枚だった。
お釣りはいらないも何も、ほうじ茶シューは280円だ。
つまり、30円足りない。
さんざん気を揉んで、結局わたしが損をしたというわけだ。
ここで怒っても仕方がないのはわかっているが、どうにも気が済まない。
*
多軌屋の狭い店内に戻って、抹茶エクレアを買った。
二人連れの女の子に目撃されなかったのが、せめてもの幸いだったのかもしれない。
今がまさにそれ。
視界の端に、坂高―坂咲高校、の制服が映った。
間違いない。
黒のジャンパースカートに、リボンは赤だ。
しかも女の子の二人連れだ。
もし彼女たちに今の状況を見られたらどう映るだろう。
もしかしなくても相澤がわたしに告白してるように見えるかもしれない。
相澤は学校では有名人、きっとそれなりにファンもいるだろうし、そしたら噂もすぐ回る。
まずい。サイテーだ。
とっさにほうじ茶シューを取り出して、相澤に押し付けるようにして渡した。
「ありがとう!あっ、お釣りはいらないから。本当にありがとう!」
相澤はそう言ってわたしの手のひらに小銭を置くと、走って行ってしまった。
小銭を確認すると、50円玉が一枚と100円玉が二枚だった。
お釣りはいらないも何も、ほうじ茶シューは280円だ。
つまり、30円足りない。
さんざん気を揉んで、結局わたしが損をしたというわけだ。
ここで怒っても仕方がないのはわかっているが、どうにも気が済まない。
*
多軌屋の狭い店内に戻って、抹茶エクレアを買った。
二人連れの女の子に目撃されなかったのが、せめてもの幸いだったのかもしれない。