ラブラボ! ~恋は華麗な復讐ゲーム~
夕方の渋谷は、学生たちの人混みで渋滞状態。



お昼に雪美と別れてから数時間後、私は道玄坂近くの喫茶店で周囲の視線を一身に集めていた。



幸か不幸か午後の講義が休講になった私は、雪美に指定されたショップに行って、大学生が着るには不釣り合いなブランドの服に着替えた後、美容院に連れて行かれたかと思うと、髪を結い上げられて、それはそれは派手なメイクを施されたのだった。



「え、なに? 何かの撮影?」



聞こえないふりをしていても、そんな声が耳に入ってくる。



まったく、勘弁してよね。



私は、窓に映る自分の姿を見て、こめかみを押さえた。



復讐に燃える雪美が指定したのは、目にも鮮やかなボルドーのインポートワンピース。



何でも、イタリアの新鋭デザイナーの新作らしいけど、まったく興味ない。



だって、大きくあいた襟ぐりからは、胸の谷間が惜しげもなくのぞいているんだものっ!


おまけに、スカート部分には太ももまでのスリットが入っていて、どう考えても普段着に着るには異常なデザインよ、これ。



しかも、アップの髪はうなじを全部さらしていて、おまけにプロの手に掛かったメイクときたら、どう見てもクラブのホステスか何かよ。



そのおかげで、この30分あまりの時間に、男の人に声をかけられること十数人。



チラチラ見られて耳打ちされること、数えきれず!



私は、いくら雪美のお願いだとしても、安易に承知してしまったことを心から後悔していた。



そのときだった。



雪美の復讐相手である鳴海圭吾が、仲間とともに店内に入ってきたのは---。
< 14 / 22 >

この作品をシェア

pagetop