大人恋愛部
「は…い?」

聞き返すのは失礼だと思った
それでも体は反射的に動いてしまう


「別に隠していた訳じゃない。

上には報告していたんだが
昨年末に妻とは別れたんだ。」

どこかふっきれた様子で部長はサラリと答えてくれた


あっさりすぎないですか?!

しかも昨年末って…もうすぐ一年経つじゃないですか!!

隠していたつもりはないって…

指輪は結婚当時から付けてないし

そりゃこっちも聞かなかったけど
普通聞けるか!!


様々な言葉が飛び交う中
部長の言葉にどう反応するべきか
どう答えるべきか悩んでいた



「…そう、なんですか…。
なんか…すいません。」

当たり障り無い言葉を選んだつもりだったが
『すみません』は余計だったかな?


「いや、いいんだ。
…というわけだ。
黙って夕飯を奢られろ。」


部長は足早に道路側にでてタクシーを止めた

「ほら、行くぞ。」

タクシー車からしたら忙しい時間帯で
結構つかまらない事も多いのに


サラリとタクシーを捕まえてしまう部長は
やっぱりどこからどう見てもエリートサラリーマンで

離婚した影なんかみじんも感じさせなかった
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