Rest of my Prince

僕は桜と目配せをして、頷き合う。


「い、今…べ、ベッドを用意しているからな」


……ふう。


色に眩んだ男の顔は、同性から見れば滑稽なだけで。


今頃、甘い夢に酔い痴れて喜んでベッドの用意をしているのだろう…他の男を思えば…哀れにも思えるけれど。


病人の僕に…労(いたわ)りの心くらい持てよ!!!


まあ…こんなヤクザの、更に下々の男に説教するのも面倒だから、心で思うだけにしておくけれど。


仁流会が…大したことがないのは部下の様子でよく判る。


だとすれば、頭も…大した男ではないのだろう。


「あの…ここのご主人に…挨拶を…」


必要以上に喘いでみせたら、目の前の男の鼻息も荒くなる。


「あ、ああ。いい、俺がちゃんと言っておくから」


そこまでの展開は期待できないらしい。


そんな時、どやどやと部屋の外が騒がしくなって。


「美女と美少女だって!!?」


黒服の男達が10人程雪崩れ込んでくる。


目の前の男は舌打ちして、


「折角独り占めして楽しもうと思ってたのに、誰だ」


「おいおい、上玉すぎねえか!!?」

「どうしてあの美女…あんな悩ましげな姿勢でこっち見てるんだ?」

「はあはあ。俺…ロリ好き」

「順番守れよ!!」


馬鹿な男達だ。


盛りの付いた男子高生かって思ってしまう。


もう…溜息しか出てこない。


その時だ。


「お前は、先刻会長に連れた黒髪の女にすればいいだろう?」


僕の身体が反応した。



< 103 / 235 >

この作品をシェア

pagetop