Rest of my Prince
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そして見えるは、敵の牙城。
裏口だというのに、物々しい警備の在り様。
「全員…銃を携帯しているな」
目を細めた櫂には、当然恐れはなく。
まあ…銃ぐらい、なんてことねえけどよ。
「じゃ櫂。行ってくるわ」
俺は気配を殺して背後から1人の男の首をへし折り、隣の男がそれに気づく前に肘でその喉を突いた。
崩れ落ちるその音を聞きつけた男が懐に手を差し入れた瞬間、俺はその腕を捻り上げて地面に叩きつけ、背中を足で踏み潰す。
「その髪とピアス、その巨体!!!
お前、如月…」
ん?
何だか俺の名前が聞こえたような気がしたけれど。
それから。
不思議なことに、黒服の相手をすれば必ず俺の名前が口に出されて。
しかも、
「また仁流会に、恨みでもあるのか!!?」
"また"って何だ?
俺ってそんなに有名な奴だっけ?
首を捻りながらも、俺は攻撃の手を休めない。
隠れた著名人ぶりに、櫂も不思議に思ったらしく、
「煌…お前、数日前に…1つ組織を潰したって言ってたよな?」
突然櫂は、予想外の話題を振ってきた。
「おう。一方的に俺に因縁つけてきた奴を叩きのめしたら、後日集団で報復にきたから…頭にきて組織ごと潰してきたけど…それが何だ?」
「それ…此処の関連じゃないか?」
「は?」
櫂が、俺が叩きのめした男の1人の襟首つかんで何かを問い質している。
「やはりお前が潰したのは仁流会の末端。母体にお前の暴れ様が伝わり、ブラックリストに載っているらしい。お前…素人相手に、手加減しろよ?」
櫂が苦笑している。