Rest of my Prince
「しかし此処って…セキュリティつーもんないのかな。俺が潰した末端組織の屋敷の方が、サイレン鳴るわ、電気流れ出すわ…もっともっと人が膨れ上がって派手だったけど」
「玲の仕業だろう。監視カメラも役に立っていないはずだ。本当に電気管理のこのご時世…玲は敵に回したくない」
「まあ…それにあいつ、やる時は徹底的だからよ、誰かさんに似て」
そう――俺達はほのぼのと会話をしているが、その間にもきっちり敵を薙ぎ払い…がたがた震える案内役を脅しつけて芹霞の元に誘導させている。
その時、だ。
「やめて、やめてー!!!」
明らかに――
芹霞の悲鳴が聞こえた。
俺達は…俺は、顔を強張らせて。
「やめて、お願い!!!
痛い、痛い、痛いッッッ!!!!」
それが何を意味するのか。
「これ以上、やだッッ!!!
触らないで~ッッ!!!!」
考えていたら狂いだしそうで。
「芹霞!!!!!」
櫂が吼えるように走り出す。
喉がひりひりして。
全身の血が逆流して。
脳裏に浮かぶ芹霞の笑顔が――
ぱりん、と…
まるで硝子が砕け散ったかのように…
木っ端微塵になった。