Rest of my Prince
 桜Side
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玲様の…端麗な顔が険しさを際立たせている。


焦りと怯えと…怒り。



玲様はお得意の"コード変換"にて、この屋敷の電気系統をすべてご自分の管理下に置かれた。


膨れ上がる男達は、私達の敵ではない。


裂岩糸を使う間でもなく、玲様も紫堂の力を使う間でもなく。


素手で十分な相手だった。



これならば、緋狭様との訓練の方が余程手ごたえある。


思い切り手加減し、尚且つ彼女はたった1人だけだというのに、私が裂岩糸を出してもまるで敵わない相手。


彼女に比べれば、此処の男達は何てかわいらしい存在なのか。



「桜!!! 行くぞ!!!」



鳶色の髪を振り乱す、白いワンピース姿の美女。


玲様に邪な情を抱いた男達は、夢を砕かれ…固まったままで地獄に行った。


地獄に突き落とした後も、玲様は本当に容赦なく。


「桜程じゃないよ?」


いえ、そんなことはありません。



私は玲様には適わない。



「櫂と煌も来ているようだね。本当に派手好きな奴らだ」


そう含んで笑う玲様の表情は依然硬く。


芹霞さんの危機を感じて、顔色は蒼白なまま。



――会長の部屋は、回廊の先の別棟にある。



玲様のスカートが血に染まっている。


驚いて心配した私に、


――これは、自傷…だから。


彼は、無理やりに笑いを作った。



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