Rest of my Prince
 

それ程。


下卑た男達の声が、玲様を苛ませた。



玲様だけではない。



私だって。



もし。



もしも、芹霞さんに何かがあったら――


私はどうしよう。



私だけではない。



櫂様、馬鹿蜜柑、玲様――



芹霞さんを大事に大事にしてきた彼らは、



正常な精神状態ではいられない。



大丈夫だと――


信じるしかないのだ。



あれはただの…下世話な架空話だと。



芹霞さんの泣き声など聞こえてはいないのだと。



玲様の顔は悲痛で。


女の格好はしているけれど、その顔は男の顔で。


隠し切れない感情が、ありありと出ていて。



私はどうなのだろう。


いつものような"女"の服を着た私の顔。


その顔は…"女"? "男"?
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