Rest of my Prince



「芹霞!!!!」




玲様が搾り出すような声を上げて、別棟と思われる…回廊の終点に飛び込んだ。


どうして…扉が開いているのか、



そんなことを考えるよりも早く、私達の身体はその中に飛び込んで。



視界に鮮やかな橙色があった。



その先に…漆黒色があった。



彼らは動かない。



動けないようだ。




「助けて、助けて!!!!」



芹霞さんの声に。



彼らは身じろぎ1つしていなくて。



どうして!!?


芹霞さんが助けを求めているのに、


どうして動かない!!?




「――…え?」



隣の玲様が、驚いた声を出して。




「何…で?」



茫然自失というように。


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