Rest of my Prince
「だってだって!!!!
歌が上手くなる秘訣とか聞いてたら…
お爺ちゃんが"ツボ"で改善してくれるって言うし」
歌?
「歌と足ツボは関係ないだろうが!!!」
「と、思うでしょ、普通は。
あ~♪、あ~♪
ね、カラオケしてたより声が出るようになったでしょ?
咽がつまる感じがしない。声が出やすくなったの。
痛くて痛くてやめてと思うけれど、何か癖になりそうな痛み!!!」
カラ…オケ?
「ほほほ。足ツボの良さを知れば病みつきになるぞ? 足の親指と人差し指の間にある…丁度声帯に関する部分のツボ。芹霞ちゃんと随分歌いまくって喉酷使させてしもうたからの、回復措置じゃ。どうしてそんなツボ知っているかって? 歌好きの年寄りを甘くみちゃいかん。全ての道はカラオケから通じておる」
通じていた…のだろうか?
「ねえ? 話わかる爺ちゃんでしょう!!?」
そう芹霞さんは笑うけれど。
確かに――…
この部屋には、一面カラオケ…と思われる最新機材が取り揃えられていて、
大きな画面には…
「銀…恋…。どうしてそんな展開? ありえねえ…」
馬鹿蜜柑が呟き、脱力している。
「芹霞ちゃんは歌が上手くての、ずっとでゅえっとしておったんじゃ」
「ね♪ 爺ちゃん、なかなかイケてる歌い手よ?歌好きに悪い奴はいないね~。
あたしまず、この純金マイクに…歌に対する"愛"を感じたの」
「この良さを即座に見抜いた芹霞ちゃんに、儂は感動した!!! 素晴らしい歌は…不滅なのじゃ。儂の"マイ純金マイク"で歌えぬ"名曲"はない!!」
「Zodiacを全曲歌える爺ちゃん、もう最高~!!! 名曲だよね~」
「なかなか中毒性になる名曲じゃ!!!」
「でしょう? やはり判る人は判るよね~?」
そう…何故か、馬鹿蜜柑を睨みつけた。
「…俺のせい…?」
馬鹿蜜柑と芹霞さん、そして櫂様の間に何が繰り広げられていたのかは判らないけれど、馬鹿蜜柑は小さくなった。