Rest of my Prince
俺の興味が無くなったら、俺の存在は?
見向きされなくなる?
今、このZodiacのように…他の男に夢中になる姿を、
咎めることも出来ない存在になってしまったら。
もう隣にも立てなくなってしまったら。
8年前のように。
捨てないで、置いて行かないでと…俺は泣き叫ぶのか。
泣き叫べば…芹霞が帰ってきてくれるのか?
8年前の姿を消した、今の俺の元に。
簡単な言葉で表現すれば、ただの"嫉妬"。
だけど俺にとっては、それ以上の深い意味合いを持つんだ。
そんな心地の中で聞こえた煌の声。
堪え性のない煌だって、同じ屋根の下で我慢に我慢を強いられ、今ではもうZodiacに対して完全敵意を剥き出しにしている。
「試験勉強が終わって、これで邪魔者はねえと思ったら、今度はZodiac!!! どっから湧いて出たんだ、Zodiac!!! 絶対俺は呪われてるって!!」
「……煌。出し抜くことは、赦さないよ?」
傍観していた鳶色の瞳が、すっと細くなる。
「玲~ッッ!! お前だって…構って貰えなくてイライラしているだろうが!!! 欲求不満を俺にぶつけずに、さっさと芹霞と"おでかけ"決行すればいいだろ!!? 何を勿体ぶって!!!」
「然るべき時に然るべき場所で。僕はロマンチストだからね?」
「お前、何企んでるんだよ~!!!」
玲は中々、1日限定の"おでかけ"をしようとせず。
玲の意向で決行出来るのに、しないのは…多分芹霞の心がZodiacばかりだからだろう。
俺としては、その状態でさっさと終わらして貰いたいけれど。
「櫂。紫堂の力で…」
黒い瞳が俺に近付いてきて。
「学園祭にZodiac呼ぶ気ない?」
紫堂の力を私的に振るうことを嫌っていた芹霞が、ついにその力に頼ってきた。
「あたしにZodiac、会わせて?」
そんなに可愛く…首を傾げておねだりしても、
そんなに俺を映した瞳を、きらきら輝かせても。
「駄目」
俺は振り切るように、目を瞑る。