Rest of my Prince
 

少し――心が動くけれど。


「あたし…櫂の言うこと何でも聞くから。お願い」


"何でも"


ぐらぐら、心は動くけれど。


「ねえ、櫂くん。お願い」


ああ――くそっ。


惚れた弱みって奴か。


「少しだ「芹霞、僕が何とかしてあげようか?」


妥協案を提示しようとした俺の声に、被せるように玲が微笑みながら言った。


「本当!!? きゃあ玲くん素敵!!! あたし何でもするから!!!」



「「駄目だ、絶対駄目駄目!!!」」



俺は煌とほぼ同時に叫ぶ。


"おでかけ"に加えて"何でも"。


玲の望みなんて、十分過ぎるほど判っているから。


「…必死だね、櫂」


くすり。


玲は芹霞に気付かれない範囲で、からかうように俺に笑う。


「お前もな」


負けじと俺も笑う。


「ふふふ。言うね?」


「ふふふ。事実を述べたまでだ」


俺達は、どこまでも微笑み合う。


「すげえ…この従兄弟達…怖い…」


煌がぶるりと震えた。

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