Rest of my Prince
ダダダダダッッッ
目の前では、確かに――
「何処~~!!?」
歓声か悲鳴か…何とも微妙な声を上げながら女達が走っている。
俺は近くの女に聞いてみた。
俺が顔を近づけた途端、仰け反った失礼の奴だが…我慢して。
「Zodiacが…一般人に紛れてくるっていう噂で!!!」
「きゃああああ!!!」
叫んだのは、この女ではなく――
「Zodiac最高!!! あたしも探しに行くッッッ!!!」
芹霞。
櫂と俺を残して…走って行ってしまった。
「――ちッッ!!」
櫂が悔しそうに舌打ちをして、拳を握りしめる。
「そんな情報…一切入ってなかったのに!!!」
櫂…
お前も頑張っていたんだな。
だけど、Zodiacのやんちゃは健在だったわけだ。
そこから。
桐夏の女達はずっと校舎を駆け回る異常事態。
元々桐夏では、5日間開催される行事の内、1日はクラスで決定した催しをしないで純粋に見物だけで楽しむ"休息日"があり、俺達は初日がそうだった。
だから、今はもう何処にいるか判らねえ芹霞に仕事はないけど、だからこそ俺達は芹霞を繋ぎ止めるのに必死で。
「また、電源切ってるあいつは!!!」
携帯に触れれば火を吹く俺としては、何処に居ても所在を掴める携帯電話が利用できる櫂は羨ましく思うけれど、凄惨な顔を見ていれば…そうでもないものらしい。