Rest of my Prince

├中編

 桜Side
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「ちょっと早く来すぎちゃったかな」


玲様は時計を見ながら苦笑した。


玲様は穏やかそうに落ち着いて見えて、実はお祭りのような賑やかなものがお好きで、櫂様方より声をかけられる"行事"の参加を欠かしたことがない。


――僕は…櫂のように高校には行っていないからね。


それは私も同じく。


私は玲様に世間一般的な"勉強"を教わっており、特別…学校に通っていないということに不自由さは感じていないけれど、高校時代…帝王学を含めた全ての勉学を紫堂の家にて学ばれた玲様は、その孤独さ故に…学校生活というものが羨ましいのだろう。


「何かもう…20歳ともなれば、高校生の時代も過去の幻影みたいで…ますます世間から取り残されている気がする」


そう、玲様は儚く笑った。


しかし。


玲様がこうした公の場所に姿を現せば。


「きゃあああ。誰誰!!?」

「紫堂くんの従兄!!?」

「何あのイケメン!!?」



必ず行事に現れる私達の素性は…知る人ぞ知る。


目立つ。


玲様は、立つだけで目立つのだ。


端麗な顔で、均整の取れた肉体。


すらりと長い手足。


気品ある優雅な佇まい。


微笑むだけで、景観が薔薇色になりそうな…白い夢の王子様。


"儚い"どころか、その美貌は目映くて。


その存在感は、櫂様や馬鹿蜜柑と並んで、強烈だ。



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