Rest of my Prince
「あれ~、玲様!!?」
私以外にそう呼称するのは――
「弥生ちゃん?」
芹霞さんのお友達の宮原弥生。
何だか朝から疲れきっている。
「おはようございます~。桐夏祭楽しんでいって下さいね~。
ところで、芹霞を見ました?」
ああ…地雷を。
「見たよ。僕の前を何度も通り過ぎて行ったんだ。そう…何度もね」
玲様…お顔が"えげつない"。
宮原弥生も引き攣った顔をして愛想笑いを浮かべて。
「で、どうしたの?
Zodiacが何?」
にっこり。
その笑みは、既に凶器となっているけれど。
「Zodiacが…一般人に紛れて桐夏祭に来て、ライブをするのだという噂で。朝から女子が、"Zodiacを探せ"と躍起になっていて…」
「ふうん。来るんだ。来ちゃうんだ。随分と怖いもの知らずだよね。それで女の子は、彼らを見たくて触れたくて…きっと芹霞もそうなんだね?」
にっこり。
「あ、あのお馬鹿を抑えようと、由香りんと一緒に芹霞を探しているんですけれど…あの子、Zodiacのことになると人が変わって」
「そうだね、周りのことなんてお構いなしだね。少なくとも僕のことなんか、眼中外っていう感じだよね」
にっこり。
「ひ!?」
「…邪魔されればされる程…燃え上がる芹霞の癖、その恩恵にあずかった僕への…しっぺ返しなんて、神様中々粋な計らいをするよね」
にっこり。