Rest of my Prince
櫂様がびくんと反応して、遠坂由香を見た。
「俺……?」
少しばかり…顔色がお悪いような。
「待て待て待て!!! 櫂は音痴なんだぞ?」
馬鹿蜜柑が騒いだ。
「ありえないだろう、な~紫堂。完璧主義を信条にしている君が、"歌えません"なんてありえないよなッッ!!?」
櫂様は苦虫を噛み潰した顔で、押し黙った。
「玲様…櫂様は本当に…?」
私はぼそぼそと玲様の耳元に囁いて聞いてみた。
「さあ。今まで僕は櫂の歌声というものは聞いたこと無いから…」
玲様でも知らないという櫂様の歌。
「櫂の人気落ちるじゃねーかよ!!!」
「そこが"萌え"になってしまえるのが、オトメの不思議な処さ。君は本当にオトメゴコロに疎いよね?」
櫂様は…どうする気だろう。
凄く…項垂れて考え込んでいる。
「むふふふふ。紫堂~、ボクを呼んだということは…女の子のウケを狙う知恵を貸せということだろ? 大丈夫、ボーカルは君だけじゃないから。ね、師匠~?」
「ぼ、僕も!!?」
「葉山もね」
「わ、私まで!?」