Rest of my Prince
「簡単に言えば、希代の色男達が、ペアを変えて代わる代わる歌うわけさ。歌わない時は演奏。だけど…1人足りないな。ああ、ももっち…外部でバンド組んでたはずだな、よし"あのネタ"で脅して連れてくるか」
何となくだけれど…
遠坂由香の顔もえげつなくなってきているような?
「ああそれと、先輩。君だけは歌わず、色々なポジションでローテーションの演奏の覚悟しておいてね」
「ははは…。君達と歌う気にはならないさ…。もういいよ、何でも」
凄く投げやりな言葉が返ってくる。
私達は顔を見合わせた。
不安だ。
不安すぎる。
特に…
私が赤いギター。
私が歌!!!
「あ、紫堂。ボーカル以外に何やるか決めてね。君は何でも初見でマスターしそうだからさ。師匠もだね。というか…師匠、楽器弾けるの?」
「い、一応は…櫂もだけど、クラシック関係は…」
「おお~!!! 流石は紫堂の帝王学、優雅だね!!! むふふふ。やるならとことんやりましょう?」
それまで黙り込んでいた櫂様が、
「面白い」
ああ…櫂様の瞳が好戦的に。
「お前達…腹を括れよ?
俺ももう…覚悟した」
覚悟とは…歌のことだろうか。
その割には実に朗らか、愉快そうで。
「やるなら完璧に。息の根を止めてやる」
それは…Zodiacに対してだろうけれど。
櫂様も、そこまで敵視していたのか。