Rest of my Prince
「久遠。調子に乗るなよ?」
そしてこの漆黒の少年も、それを判っている。
「昔も今も――
芹霞は俺のものだ」
此の地に居る私達も、此の地に居ない彼らも。
共に何れかは滅び行く運命だというのなら。
「ふん、12年かけて…身体だけでもモノにも出来ない男が何をえらそうに。何が完璧主義だよ、笑わせるな。『気高き獅子』何てご大層な異名、せりに愛想尽かされない内に返上したら?」
「…ちっ!! やはりお前とは決着つけねばならんな」
「同感だな。今ここでやる?」
そんな僅かの期間に――
「何喧嘩始めてるの!!! 櫂もそんなに乗りたいのなら、久遠と一緒に乗っておいでよ!!! あたしは誰かと乗るから!!!」
「「誰がこいつなんかと!!」」
刹那様が――
心を見せられる誰かと巡りあえた奇跡に
私は感謝したい。
この出会いこそが、"心"があるが為に苦しまれた刹那様の"救い"であるのだと――
私は信じたい。