Rest of my Prince
櫂や煌、桜と共に過ごしていた僕としては、なぜZodiac如きが恋敵となりえるのかがよく判らない。
"抱かれたい男"
由香ちゃんが教えてくれた生々しい単語に、僕は否応にも煽られて。
芹霞が他の男と触れ合うことすら我慢できない現状で。
男として芹霞に触れたい"僕"を抑圧している中で。
…芹霞が飛び込みたいと思っている男の胸が、よりによってこんな男達であるならば。
僕が彼らに負けたのであれば、彼ら以下の魅力しかない自分にショックを感じる以上に…彼らに対してふつふつと怒りが湧いて来て。
めちゃくちゃに壊したくなる。
芹霞も、彼らも。
僕の奥底に在る破壊衝動。
それが"僕"と結びつく前に、それを必死に押し殺して、そして足を運んだ学園祭。
やはり――
芹霞にとって僕の存在なんて、無にも等しいらしくて。
Zodiacに殺意すら覚える。
辺りを窺えば、少女の反応は両極端のようだ。
芹霞のようにZodiacの影を求めて校舎を駆け回る少女もいれば、何事もなかったように平然と桐夏祭に準じる子もいて。
その差は著しい。
騒いでいる男生徒はいないようで、Zodiacの人気は女性限定ということか。