Rest of my Prince
 

しかし、何というか。


「"ねえ…いい加減言葉で表してよ"」


朝から、奴はハスキーボイスではあったけれど、



「"私を好きなんでしょう?"」



元々、煌は声量はあるし、歌は上手いんだ。


だけど今はそれだけではなく。


この鼻にかかったような、甘い歌い方といい。


マイクの上に両手を組んで、眉間に皺を寄せた…苦悶の表情での歌い方といい。


格好と歌詞と歌い方がギャップがありすぎて。



「ぎゃああああああ!!」



女子が悶えている。


煌…どうしてそんな色気を放出?


あたしでさえ絶句する程の、到底ワンコ如きには表現できない"艶"。



やば。


全身鳥肌たってぞくぞくしてくる。


煌が見知らぬ"男"に思えてくる。



そして櫂がマイクに手をかけた。



櫂、櫂、櫂!!!


音痴を披露するのか、させてしまうのか!!?



「"貴方の視線は、愛の鎖。私を悶えさせるの"」



場は――静まり返った。

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