Rest of my Prince


「演奏部隊はどう?」


女のカガミたる玲くんならばピアノが弾けても今更驚かないけれど、ブラック玲くんは…結構先入観を裏切ってくれた。


優しさも穏やかさも、黒い色に隠れてしまって。


優雅であるのに…荒く激しい演奏。


左手と右手がバラバラの動きして、あっち行ったりこっち行ったり…凄いことになっている技術は、到底素人とは思えない。


いつ練習していたんだろうか。


ピアノ…家にないはずなのに。



「玲様のピアノね、即興(アドリブ)だって」


「あ、あの場で作ってるの、あんな凄いのを!!?」


玲くんは平然とした顔だ。



「私誰を応援すればいいか判らない」

「私何処に目を向ければいいか判らない」

「どうしよう~」

「鼻血出そう~」


そんな声が聞こえてきて。



判る。

あたしだってそうだ。



そして桜ちゃんのギターソロ。


凄い。


無表情の桜ちゃんが、ツインテールを振り乱して…真っ赤なエレキギターに走らせるその手の動きが早すぎて。


壮絶すぎて、言葉が出ない。



「ギャップ萌え~」



そんな声も聞こえてくる。


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