Rest of my Prince
そして照明がクロスするように、その隣に光をあてられる。
白いサテンシャツ、白いズボン。
いつも以上の彼の"カラー"をまとった光の使者。
胸ボタンは殆どしておらず、黒い十字架が胸元にきらり。
さらさらの鳶色の髪を、少し後ろに流していて。
玲くん…
もう鼻血吹きそうだよ。
玲くんも歌う…らしい。
「"愛してる"」
櫂と同じ台詞が、玲くんの口から漏れた。
故意的なのか否か、囁くような息遣い。
この吐息交じりの艶かしい声が響くと、身体がむずむずする。
玲くん、声のフェロモンも凄いんだ。
服がはだけている分、彼が此処に存在していること自体、最早凶器だ。
鳶色の瞳と目が合った。
ふわり。
留まる処を知らない大量の色気を放出された。
「"誰にも渡さない"」
その一瞬――
玲くんは、今まであたしが見たこともないような"男"の表情をした。
優しい玲くんらしからぬ、肉食獣のような攻撃的な眼差しを向けてきて。
――何!!?
あたしは思わず目をそらして、その刺激に耐えた。
そらさねば即KO…あたしは意識を失うだろう。
あたしは念仏を唱えた。