Rest of my Prince
久遠Side************


毎月2度、どんな天候であっても、必ずせりは来てくれる。


せり1人居ればいいのに、絶対横にひっついているんだ、あの男。


「何だ、そのあからさまに嫌そうな顔は」


お互い様だ。


何処までも超然と、何処までも憮然と。


何処までも仏頂面で、何処までもふてぶてしくて。


年上に畏敬の念も払おうとしない、この横柄な態度。


たかが紫堂財閥の嫡男如き、何を偉そうに気取っているんだ。


どうしてせりは、こんな奴がいいのだろう。


12年も――

よくこんな男といれるものだ。


傍観者に徹すれば面白い。


紫堂櫂はオレに見せ付けるように、やたらせりに触れ抱き寄せるけれど、せりはその手を払って、あくまで自由奔放だ。


「旭~!!! 蓮~!!! 遊ぼうよ!!!」


此処の地を遊園地にしたのは、オレに対する牽制なのだろうけれど、幸か不幸か…オレより遊園地に興味津々のせりは、紫堂櫂をもほっぽって旭と蓮とで遊びまくる。


蓮は嫌がる素振りをしていても…何だか楽しそうだ。


女達に置いてきぼりにされた哀れな面々。


「遊園地は…不味かったかな…」


お前…12年もせりと一緒にいて、17にもなってまだ懐柔できないのかよ。


いつも自信ありげでオレを挑発してくるくせに。


やることは大胆で誰からも畏怖されているくせに。


せり相手だと変な処で消極的になり、子供じみる。


詰めが甘すぎるんだ。


何が完璧主義だ。


そういう処がイラついて…そういう処でどうしても口出ししたくなる。



「今までお前は何してたんだよ!!?」



するとこう怒鳴ってくる。



「13年前に、お前と出会ってなければ、こんなに苦労することはなかったんだ!!!」



オレのせいかよ?


だったらお気の毒様。


せいぜい苦労すればいいんだ。




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