Rest of my Prince
あたしには、何をもって正統、何をもって異端とするのかが判らない。
だけど――
「普通ではない力をもつ者を異端というのなら、十分お前も異端だけどな」
すると翠は、若武者のような凛々しい顔をにやりと歪ませた。
「今更なんだよ。だったら紫茉だってそうじゃねえか」
そう…なんだろうか。
「だけどあいつら。絶対隙みせねえよな。というより周りが紫堂櫂の警戒を怠らない。いつでも何処でも…必ず紫堂櫂の動きと周囲の動きを目に入れてる。相当…教育されてるな。俺とは大違いだ」
「雅と凱か? そういえばあいつら…何処行った?」
「ガキなんて知らねえし、今まで俺の警護なんて真面目にしたこともねえ。大方…妙な威圧感発する紫堂櫂に喧嘩売ろうとして…失敗して、不貞腐れているんだろうよ」
「喧嘩…売ろうとしていたのか」
「は? お前隣に居て気づかなかったのか? まあ邪魔したのは…照明係だったけどよ」
「照明?」
「ああ仲間なんだろうな、あの赤と青。雅と凱が動こうとすれば、照明を忙しく動かして撹乱させて。更に投げキスまで飛ばすその余裕。流石にあの"ぶっ飛んだ"ガキも、力の差を思い知って大人しくなりやがった」
紫堂櫂という男は、仲間に恵まれているらしい。
「ま、俺も…朱貴(たまき)や紫茉が居るから恵まれているんだろうけど」
「1人忘れてないか?」
「…知らねえよ、他は」
可哀想な、周涅(すぐり)。