Rest of my Prince


更に部屋の中まで、人参柄のカーテンやらベットカバーやら。

窓際には、生の人参が10本程…暖簾のように上下に垂れ下がっていて。


服の柄は勿論、学校に持って行く筆箱の中身やノートに至るまで人参尽くし。

シャンプー石鹸、入浴剤。歯磨き粉まで全て人参風味。


本当に寝ても覚めても人参ばかりで、毎夜人参に追いかけられる悪夢ばかり見て、流石の俺も憔悴して…3日で根を上げた。


「もう…人参嫌だなんて言わない」


だからあの橙色、益々嫌いになってしまったけれど…だからか、食事に人参が出ると、視界からまず消したくて目を瞑って先に喰う癖がついてしまった。


残すものなら、きっと今でも人参攻めに合う。


緋狭姉は、刃向かうことは赦さねえ。


言い訳や反抗心など見せれば、100倍になって返ってくる。


例えば修行で腕に疵なんか作って、痛いから今日は鍛錬したくねえと駄々をこねたとする。


――そうか、その疵が痛いせいなのだな?


妖しく笑って、足を思い切り抓り上げられる。

肉がぶ千切れるかと思うくらいの、容赦ない強さ。


――どうだ、これで腕の痛みはなくなったろう? さあ修行だ。


怒らせれば更に怖い。


実の妹とてどっかーんと雷は落ちる。


尻叩きの刑に遭えば、2日間は尻が腫上がって痛くて椅子に座れたもんじゃねえ。


拳骨の刑で、拳骨を頭に喰らえば、脳天がちかちかして真っ直ぐ歩けねえ。


断食の刑では、飯抜にさせられた俺達の目の前で、緋狭姉が俺達の大好物の菓子を食べているのを黙って見ていないといけない。


不眠の刑では、とろとろと微睡み始めたら…全身至る処に大きな洗濯ばさみをつけられる。


その他諸々…バリエーションは豊富で。

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