Rest of my Prince
緋狭姉のポリシーは、喧嘩両成敗。
今でこそめっきり少なくなったけれど、昔は芹霞と顔を見合わす度に…些細なことが原因でよく喧嘩をしてた。
例えば芹霞と俺が喧嘩して、神崎家の障子を破ってしまい…互いに相手のせいにしていようものなら。
――お前達も障子の気持ちを味わえ!!!
まるで俺達が破いた障子のように、着ていた服をびりびりに破られ、襟首掴まれひょいと外に放り捨てられた挙げ句に、鍵とチェーンまでかけられる。泣き騒いでも土下座してもドアは開かねえ。
芹霞と共におねしょして、布団を濡らそうものなら、
――お前達も布団の気持ちを味わえ!!!
2人共バケツ一杯に入った水を全身に浴びせられ、物干し竿にて…布団と一緒に吊り下げられる。
近所の奴らは…それを微笑ましく眺めるだけで、誰も助けようとしねえ。
巡回中の警官でさえ、
――お、今度は何やらかしたんだ、チビ共!!!
こっちは生きるか死ぬか…真剣なのによ、薄情な奴らばっかだ。
それでもまあ、俺達が死なないように…緋狭姉を含めて見張っていてくれたらしいけれど。
泣き疲れて眠ってしまえば、必ず痛みつけられた箇所は手当てされ状態で、布団の中に居るんだ。
じゃあとりあえず緋狭姉の怒りが鎮まるまで、いつも適当に堪えればいいんだろうなんて、そんな甘いことは赦されねえ。
毎回毎回、今回こそ本当に殺されると真剣に震え上がっていたんだ。
気付けば緋狭姉に犬呼ばわりされていたけれど、それを否定出来ねえくらいに、条件反射的な"恐怖"が染みついていて。
それでも絶対嫌いになれねえのは、やっぱ俺は緋狭姉が好きなんだ。