Rest of my Prince


僕には何もない。


地位も名誉も、全て失った。


あるのはただ…僕という存在だけ。


素晴らしいものとは到底言えず、未だ"気狂い"の血が目覚めるのを、ひたすら抑え続けて生きている僕だけれど。


――玲。諦めるな。


こんな僕でも、もし…芹霞に触れることが赦されるというのであれば。


――お前は決して1人じゃない。


こんな僕でも、誰かに必要とされるのであれば。


僕は…生まれて来てよかったと思う。


全てを失うことで得た絆というのなら、それは僕にとっての必然で。


もし――

僕に過去の身分が戻ったら。


そんな夢物語を思うこともあるけれど。


その時はきっと…全てを失うのだと思う。


僕が昔失ったモノは、今――

かけがえ無いものとなって戻ってきた。


ならば新たに得るものがあるならば、

かけがえの無いものを失うことになる。



そう――

全ては運命的な事象の一環。


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