Rest of my Prince
紅皇という存在は、過去の栄光であり…今は無き者と思おう。
こんな自堕落な生活を送る人間は、紅皇であるはずはない。
詭弁、雄弁、揶揄と比喩。
下ネタばかり連発する、ストレートな物言い。
子供を嬲って喜ぶ、加虐趣味を全面に打ち出したような言葉の数々は。
冷静沈着な櫂様を慌てさせる程で。
私は玲様に何度も、顔面に水を吹き掛けられたけれど。
馬鹿蜜柑などは、真っ赤になるだけで何も言えずに逃げるばかりだけど。
しかし――
違うのだ。
緋狭様は、あえてそう振る舞っているだけで…その強さは依然衰えることなく。
櫂様玲様、そして煌が未だ信頼して崇め続ける程、やはり緋狭様は今も尚神々しく…慈愛深いのだ。
彼女は、彼らを見捨てない。
どんなことがあっても、見守り続ける。
彼らの成長を強く望み、手助けしている。
彼女にとって3人は愛弟子だ。
更に煌は…共に住んでいて、その潜在能力を高く評価されている。
見た目はあんなに情けなく緋狭様に怒られてばかりなのに、その実緋狭様は煌を頼もしく思っている。
そう…緋狭様が育てた彼らは、強い絆があり。
その親密な関係に、いつも私は混ざれなかった。
いつも遠くから眺めていた。