Rest of my Prince
「数をこなすのはもう無理だけど、俺…玲を見習い、たった1人を堪能して、男の矜持にかけ必ずや"あの域"に達し、芹霞を…」
「芹霞さんに――
ナニしようとしてんだ、
コラアアアッッッ!!!」
葉山桜。
華奢で小さく黒い色で。
いつも紫堂櫂と紫堂玲の後ろに控える彼は、今は女装姿で現れる。
まあ…紫堂玲も女装してたし、そこらへんは寛大な集団なんだろうけれど。
せりを命がけで助けた様から、せりに対して特別感情があると思ったのだけれど…それを見事なまでに表に出さない。
紫堂櫂、紫堂玲を勝る自制心。
だけどそれは――
「不埒なことでもしたら、てめえの腐った脳みそ、掻き出してやるからな!!!」
橙色の前では無にも等しく。
橙色と関わった途端、小さい黒が爆発する。
そして大きい橙色がやり込められる。
なんていう逆転劇。
ありえない状況。
その彼が、絶対的に従うのが紫堂櫂。
「……何だ?」
気づけば、オレの目は紫堂櫂に向いていて。
「どうしてオレの前に居るんだよ!!! さっさとせりの元に行って、押し倒すなり、キスするなり、欲求不満解消すればいいだろ!!?」
「……。俺はお前のような節操なしとは違う」
「女なんてね、強引にされたらコロっと転んで身体を開くものなんだよ。それより。もう邪魔しなくていいのか? オレに構っている暇に、せりが紫堂玲と観覧車に乗りに行ったぞ? 2人きりで」
途端、紫堂櫂は顔色を変えて駆け出した。