Rest of my Prince


櫂様も玲様も煌も――

皆赤色の元にて育った。


しかし私は違う。


私だけ、彼女の思い出がなく。

私だけ、居場所がなく。

私だけ、私でなければならないという役目がなく。


それでも。


櫂様と共に在ることが出来る現況で、それ以上求めるのは身分不相応なことで。


私は馬鹿蜜柑ではないから、立場を弁(わきま)えているつもりだ。


ただ――

胸の中に空洞があるような…疎外感というものは感じていた。


もっともっと強くありたい。

もっともっと必要とされたい。


それ以外に…私が望むことなど何もないはずなのに。


何を求めているのか、私が把握出来ない"私"がいるのが、溜まらなく厭で。



――桜。お前は1人じゃない。


いつだったか、緋狭様が言った言葉が蘇る。


――本当の強さを、求めよ。


胸の中が突如熱くなって、苦しくなる。


私はいつも1人で、強さだけを信じてきたから。


本当の強さが私に欠けているというのか。


それは一体どういうものなのか。


私の中で"強さ"の定義が変わっていく。
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