Rest of my Prince
緋狭様に稽古をつけて欲しいと、自ら願い出た。
師があればその色に染まってしまうからと、色を捨ててきた私には不必要と…唾棄していたそれを嘆願していた。
私は誰の手も借りずに、私だけで強くなればいい。
そう…思っていた筈なのに。
だけど、緋狭様の色なら…
その色に染まってもいいと思った。
――桜ちゃん、大好きだよ。
私の中にあった…衝動。
私の中の…私が把握出来ない未知なる領域で、
赤く染まる部分があるのを――
私には嫌だとは思わなかったから。
そんな赤色であれば…
私は強くなれるのではないか。
そんな気がしたから。
強さとは何か。
それの答えを出すためには、私には赤色が必要なのだ。
私が、私が大切なものを守る為に。
強い赤色が必要なのだ。
そして。
緋狭様という存在を通じて、櫂様方と私が…赤色の絆で結ばれた時、初めて私は…彼らと共に生きられるのだと思う。
生きたいと思う、いつまでも。