Rest of my Prince
 櫂Side
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「人生ゲームしようよ~」


遠坂が箱を抱えて、家に来た。


俺の家は、この女が自由に出入りできる…遊び場となっている。


もう慣れた。


俺達の輪の中に居ても…居なくても、違和感なく。


どうでもいい奴よりは、少しだけ格上げされていると思う。


遠坂はてきぱきと箱から出して、誰の返事をも待たずにセットする。



「さ~、ルーレット行こうッッ!!!」


乗せられるように皆でじゃんけんすれば、俺からスタート。


「紫堂は5だね、はい、3,4,5…『運命を感じる"永遠"のオトメに出会いました。告白して猛烈アピールしましたが、振り向いて貰えず消沈。2個戻る』」


何だよ、それ…。

ゲームいえども、気分が悪い。


「へえ…櫂、何だか可哀相だね」


現実だって、"今は"そんなもんだろう。

人事のように言うな。


「ほ? 『よく行く公園にて、自分と同じ境遇にいる"いじめられっ子"を助けようとして、石に躓(つまず)いて花壇に頭をぶつけ、更に起き上がろうとして植えられていた薔薇の棘を掴んでしまい、驚いた拍子によろけて両足首を捻挫。

悲鳴を上げて開いた口の中にカラスのフンが落ちたので、蹲(うずくま)って吐き出していたら、運悪く後方から頭にサッカーボールが当たり、俯せに倒れた拍子に両手首骨折。更に脳震盪起こして緊急入院。

入院先の病院では、1人で寝泊まりするのと担当医が怖いのとで、ストレスとなり、重度の胃潰瘍と十二指腸潰瘍併発。多くの薬摂取が起因となり、肝臓と腎臓機能が悪化してICUに入る。

皆から同情され、全員から2000円ずつ貰う』。おお、紫堂。ただ躓いただけなのにICU行きか。なんだか悲惨すぎるねえ。はい、全員2000円回収。紫堂に渡しま~す」


「……。櫂。既視感(デジャブ)かな…。情景がありありと」


芹霞がこっそりと俺に囁いた。


「思い出す記憶など何もない。

これ以上口にしたら、後で覚えておけ」


「!!! ……はい」


くそ。何だよ、この赤いマス。


何でここまで詳細なんだよ。


第一、長すぎだろう!?
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