Rest of my Prince
 

桜は、やや挙動不審げに目だけをくりくり動かして。


かなり戸惑っているのが判る。


「わ、わわわわ私は…」


かなり動揺しているのが判る。


珍しい程に。


「うーん。櫂とあたしは身分差があるからありえない」


何だ、その身分差ってのは。


「煌の場合は喧嘩ばかりしてすぐ離婚しそうだからありえない」


「り、離婚なんか絶対、俺しねえし!!!」


煌は半分涙目で。


「玲くんの場合は、嫁のあたしが自信なくすからありえないし」


「……。いつまでもイロイロ優しく教えて上げるよ?」


「何か…嫁より出来すぎた主夫ってのもねえ…。玲くんが嫁ならアリ」


玲は何とも複雑そうに、顔を曇らせた。


「桜ちゃんの場合は、嫁より可愛い娘だからありえないし」


「…私、男なんですけれど」


芹霞には届いて居ない。


「全員を足して人数で割ったような…そんな人がいたらいいのにね。そしたら即結婚」


多分――


誰もが思っている。


絶対、邪魔してやると。



ああ。

まだ俺は、芹霞を意識させることが出来ていない。


"約束の地(カナン)"で12年間分の想いを告げたのに、それ以上の進展を望みながらもタイミングを逃して、今まで来てしまった。


俺の武器は、12年続く"永遠"。


永遠は…どうして…

結婚に結びつかないのだろう。



まだ、俺の力が足りないのか。



今は、我慢していてやる。


だけど。


絶対、選ばせてみせる。


近い将来。

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