Rest of my Prince
 

「煌。王様の命令は、絶対的。


――行け」



そう凄んだ声を出したのは桜。



「玲の唇舐めるくらいなら、こ…」


「香水女がいいとか言い出すなら、絶交!!!」


しまった、思わず口が滑って。


しねえって。

絶対しねえから持ち出したのであって。


俺、誰とも唇ちゅうしないのポリシーだったし。


「早くしないと、絶交」


「~~~ッッッ!!!!」


「絶交~!!!」





ペロッ。






「「うえ~ッッ!!!」」



俺と玲は同時に、弾かれたように反対側で寒気を堪えた。



人生の中で、ワースト3に入るくらいの汚点だ。


「犬。犬だ犬。犬に舐められただけ…」


ぶつぶつと玲の声が聞こえる。


だから、俺は犬じゃねえのに!!!


「ねえ、王様。哀れな奴隷にお慈悲はありますか?」


突如玲が首を傾けて。


つられて芹霞も首を傾けた。



ちゅっ。




「ふう…。ようやく落ち着きました。ありがとう王様」


「い、いえいえ…」


「玲~~ッッ!!! されたお前が、どうして芹霞に頬ちゅうすんだよ、それだったら穢れた俺の舌洗浄に…」



「黙りやがれ、駄犬ッッ!!!」



どうして――

俺が桜に殴られるんだ?



櫂は、バツが悪そうにしていて。


それとも、目を穢してしまったのか。


玲の頬ちゅうをとめれなかったのは、櫂の精神的要因があるはずだ。
< 212 / 235 >

この作品をシェア

pagetop