Rest of my Prince

キスの長さで愛が伝わるのなら、僕は30秒でも30分でも長く長くかけて、芹霞が嫌がっても愛を注ぎ込み続けるのに。


15秒なんて満足しない。


出来るわけないだろう?


櫂を見て、はにかんだように俯いている芹霞。


僕を見てくれない芹霞。


こんなに君のこと好きなのにね。

もっと僕を意識してよ。


櫂じゃなくて、もっと僕を!!


だけど視線だけではそれは伝わらず。


切なくなってしまい、思わず芹霞の腕をひき、


「ねえ、芹霞。

君は本当に15秒だけでいいの?」


そっとその耳元に囁いた。


「嫌じゃなかったでしょ、僕とのキス。

もっと長く…してみない?

天国、見せて上げる」


そしてふっと耳に息を吹き掛けると、


ぼんっ。


芹霞が沸騰して、後ろに倒れた。


「玲、お前芹霞に何言ったんだよ!!!」


櫂が僕を忌々しそうに睨み付けながら、芹霞を引き起こす。


「ふふふ、秘密」


人差し指を唇の前に立てた。


「うっわー、師匠。流石は大人の余裕だ」


そう由香ちゃんは言うけれど。


僕は余裕そうに見える?


多分、長く唇合わせれば…

余裕がなくなり暴走するのは目に見えている。


いつだって僕は必死だから。

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