Rest of my Prince


「じゃあ次行くよ? "どんな感じの腕時計が好きですか?" そして"貴方にとって、時計とはどんなものですか?" はい、ではまた紫堂」


「好きな腕時計は…派手派手しくなく、シンプルなものがいい。ありふれたものよりは、強さを感じさせる個性的なデザインがいいかな」


「ほほう、シンプルイズベストの紫堂は、強さを求めますか。じゃあ時計は紫堂にとって、どんなもの?」


「俺の生涯で、無くては困るもの」


「おおお、そんな真っ直ぐなお目々でそんなこと言われたら、ずっぎゅーんとなる女の子達続出だねえ。はい、次は如月」


「好きな腕時計は…叩き付けられても水で濡らしても、兎に角壊れない頑丈なものがいい。デザインはどうでもいいや。好きになったらそれが一番」


「へえ、如月は時計のデザインとか拘ると思ってたのに、頑丈であればいいんだ。まあ、確かに如月相手に壊れまくっていたら、堪え性ない如月のことだ、ぽいと捨てて次しちゃうだろうね。じゃあ、時計の意味」


「いつも傍にあって、真実を告げるもの」


「おお、そうきたか。次は師匠」


「僕の腕時計は特殊だからね。常に僕の手が加えられたオリジナルなものがいい。ブランドとかそういうものもいいかもしれないけれど、ただの腕時計で終わるのがつまらない。常に遊び心を刺激されるような、わくわく感ある時計が好きだね」


「玲って、結構ガキだよな」


煌が大笑いした。


「かも知れないね。じゃないと電子チップ入れて改良しないし」


「玲くん、時計職人だもんね」


芹霞が得意げに言った。


もし僕が人前に出る生活をしていたら。


手作りの時計などせず、世間ウケするブランドの腕時計をしていたのかもしれない。


いやそれより。


――玲くんの時計って、面白い!!!


芹霞が、こういう僕が作った時計を"貧乏臭い""オタク臭い"と嫌がっていたら、僕の趣向は変わっていただろう。


芹霞はいつでも、興味津々に僕がすることを見つめてくるから。

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