Rest of my Prince
「はいはいはい~。じゃあビリの如月にバツゲーム。色紙は…赤1枚だね」
そうして赤い箱を差し向けた。
煌は嫌がっていたけれど、玲様のひと睨みにて、渋々1枚の紙を選び取ったようだ。
「じゃあ注目~!!!
『最後まで手元に残していたトランプの絵柄の人物の、恥ずかしい秘密を暴露せよ』」
「ああ!!?」
煌は口を開けて芹霞さんを見た。
「な、ないよね? そんなもの…」
芹霞さんは若干顔が青い。
「な、ないよな、そんなもの…」
…あるんだ。
しかも。
2人して、ちらちらと櫂様を見るということは、櫂様でも知らない"秘密"なんだろう。
「ないよな?」
櫂様は、美しい微笑みを2人に向けた。
「「な、ないです」」
…あるんだ。
玲様を見遣ると…玲様の顔が寂しそうに曇っている。
玲様には、その真偽を確かめるだけの術がないのだろう。
幼馴染3人だけが、言い合える"秘密"。
それに入らない、私と玲様は…じゃあどんな立場?
「ぶっぶ~。そういう言い逃れは出来ません。じゃあ3人が判っていても、師匠や葉山やボクが知らなかった、"恥ずかしいこと"を暴露して下さい~。はい、拍手~!!!」
「煌、あのことだけは駄目だからね!!?」
芹霞さんは涙目で。
「あ、あのことってどのこと? お前が寝ぼけて玄関でおねしょしたこと? それとも、迷子を助けようとして迷子になって、その迷子に助けられて家に連れてきて貰ったこと? 俺と身体の柔軟性を競い合って屈伸したら、ズボンが破けた…」
「あたしが言ってるのは全然違うけど、だけどそんなこと皆の前で言うな!!!」
「じゃあどれだろう。俺が思っている奴かな…」
「それかどうかは判らないけど、それ以上口開くな、エロワンコ!!!」
芹霞さんは真っ赤になって、煌の口元を手で押さえた。
そんな親密そうな2人に、黙って見ている櫂様と玲様。
その温度差に、遠坂由香はぽりぽりと頬を指で掻き、切り上げた。