Rest of my Prince
芹霞がどうしてこんな奴に懐くのか理解出来ない。
大体、誰のおかげでこの人工都市が潰れずに維持できてると思ってるんだ。
どれだけの開発費をかけてやったと思ってるんだ。
しかも各務を存続させてやっているというのに、現当主は感謝の念すらない。
遊園地のオーナーとしての自覚もない。
ただふらふらと園内を歩いて、闇雲に女共を寄せ集めるだけ。
陽斗そっくりの手下は、風船を配るか遊ぶだけ。
自分も働こうという概念はないらしい。
これからどうする気だ、あの男。
まさか紫堂に寄生して生きる気なのか、こいつは。
「金? そこまで紫堂が財源に困っているのなら、返してやってもいいぞ」
この高飛車な態度。
「ほう。返せるというのか、何十億だぞ?」
「……。10回払いで」
「――は?」
そういう返答は予想していなかった。
分割の提案というよりは、それをたった10回で支払えるという自信。
「櫂。久遠はね…オンラインによる株とかFXとかで、短期間で凄く稼いでいるんだよ。その才能…あるみたい」
玲がぼそりと耳元で囁いた。
「まあ…僕ほどじゃないけどね」
くすり。
玲…お前、どれ程稼いでいるんだ、副業で。
結局。
各務久遠という男は、美貌だけではなく強くて、金もあるし頭もいいということらしい。
凄く――頭が痛くなってきた。