Rest of my Prince
櫂Side
***************
少しだけ、頭を冷やそうと…芹霞の元を離れた。
そう、落ち着こうと思っただけ。
「櫂、櫂!?」
その声にはっと我に返り、芹霞に何かあったのかと慌てて戻った時には――
「どうして、居ないんだよ、あいつは!!!」
芹霞は居なかった。
「方向音痴のくせに!!!」
慌てて俺は…鏡の迷宮に繰り出す。
四方八方に拡がる白銀の世界。
冷ややかな色合いが、芹霞の姿を映し出す。
ほっとしたのも束の間、芹霞が沢山居すぎて何を頼りにどちらに進めばいいのか判らない。
錯覚の迷宮。
偽りの迷路。
「…くそっ!!! 出口に続く道筋…判らなくなった!!!」
大きく舌打ちしながら、それでも早く芹霞と合流しようと懸命に進む。
やばい。
心臓がどくどく鳴る。
消したはずの8年前の俺の記憶が蘇る。
――セリカチャントアエナクナル。
「芹霞、何処に居る!!?」
――セリカチャンがイナクナッチャウ。
俺の声に反応する、多くの芹霞。
やばい。
昔の記憶が…俺の意識を覆しそうだ。
不安で。
怖くて。
――芹霞ちゃあああん。
会いたい。
触れたい。
こんな冷たい感触ではなく。
2ヶ月前の…真紅に染まった芹霞を思いだし、背筋が寒くなる。
本物の、温かい芹霞は何処だ!!?
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少しだけ、頭を冷やそうと…芹霞の元を離れた。
そう、落ち着こうと思っただけ。
「櫂、櫂!?」
その声にはっと我に返り、芹霞に何かあったのかと慌てて戻った時には――
「どうして、居ないんだよ、あいつは!!!」
芹霞は居なかった。
「方向音痴のくせに!!!」
慌てて俺は…鏡の迷宮に繰り出す。
四方八方に拡がる白銀の世界。
冷ややかな色合いが、芹霞の姿を映し出す。
ほっとしたのも束の間、芹霞が沢山居すぎて何を頼りにどちらに進めばいいのか判らない。
錯覚の迷宮。
偽りの迷路。
「…くそっ!!! 出口に続く道筋…判らなくなった!!!」
大きく舌打ちしながら、それでも早く芹霞と合流しようと懸命に進む。
やばい。
心臓がどくどく鳴る。
消したはずの8年前の俺の記憶が蘇る。
――セリカチャントアエナクナル。
「芹霞、何処に居る!!?」
――セリカチャンがイナクナッチャウ。
俺の声に反応する、多くの芹霞。
やばい。
昔の記憶が…俺の意識を覆しそうだ。
不安で。
怖くて。
――芹霞ちゃあああん。
会いたい。
触れたい。
こんな冷たい感触ではなく。
2ヶ月前の…真紅に染まった芹霞を思いだし、背筋が寒くなる。
本物の、温かい芹霞は何処だ!!?