Rest of my Prince
 


これなら。


こんな処に連れ込まなきゃよかった。


わざと作った、フリースペースで芹霞と一緒に居たかっただけなのに。


そこに行き着く前に、俺が爆ぜるなんて。


一緒に居たかっただけなのに。


芹霞が居ないだけで、こんなに寂しくて。


こんな心細くて。


――芹霞ちゃあああん。


変わったのに。


変えたはずなのに。


芹霞を求める心だけは、8年前のまま。


――僕を置いて行かないでぇぇ!!


混乱。


焦り。


不安。


鏡の中の"俺"に、俺は嗤われる。


何処までもお前は弱い男だと――


夥(おびただ)しい俺に嘲笑われる。



ああもう…


本当に泣き出したくなる。




「馬鹿ね、あたしが櫂を泣かせたりしないわよ」



そんな時聞こえたのは――



「あたし言ってるでしょう?

どんな櫂でも必ず見つける。

だって櫂は、あたしの"永遠"だものね」


荒い呼吸を繰り返し、顔中汗だらけで。


その颯爽とした姿は、8年前と同じ。



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