Rest of my Prince
気付けば俺は手を伸ばして芹霞を抱きしめ、
「俺から離れるな」
その髪に顔を埋めた。
「善処するから…出来るだけ。
だからどんな時でも…心から俺を追い出すな」
格好悪く思われてもいい。
だけど今の俺の心は、
――芹霞ちゃあああん
我武者羅に芹霞を求める昔の俺で。
「追い出すわけ無いでしょう、全く…」
芹霞は手を伸ばして、おずおずと俺の頭を撫でた。
いつもの俺ならその手を払いのけていたけれど、なぜか今は――
それが心地よく。
俺は頭に置かれたその手を掴むと――
口付ける。
俺の愛を込めて。
「か、櫂!!?」
俺は芹霞から目を逸らさず、そしてそんな俺から芹霞は目を逸らさず。
まるで闘っているかのような視線がぶつかり合う。
芹霞の目が揺れたのは、どんな理由か。
聞いてみたい気もしたけれど、だけど今の俺は…この想いが少しでも届くようにと願うばかりで。
芹霞の手を俺の頬にすり寄せて…静かに目を伏せた。