Rest of my Prince
 

少しずつ。


少しずつでいいから。


言葉では伝えきれない想いが届くように。



「あら嫌だわ、お義姉サマ。一面カイクンのうっとり顔。芹霞ちゃんの未来の夫の前で大胆不敵~」


……。


「私はお前など義弟と認めた覚えはないがな。しかし、もっと烈しい…濃厚な濡れ場が拡がっていたらば此処の鏡破壊してやろうかと思ったが…あれくらいで堪えてる坊の理性に免じてここは覗き見だけにしておいてやろう」


……。


「緋狭姉!!?」



「やばい、ずらかるぞ、アオ」

「了解」



「あれ…緋狭姉と蒼生ちゃんかと思ったけど…何処にもいないね。っていうか、櫂…随分疲れたような顔だね」


「疲れてるんだよ、俺は…イロイロと」


見間違い…でもないのなら、忙しい身分で何をしているのだろう、彼らは。



「ねえ、櫂。出口…判る?」


「何とかなるだろうさ」


「ふふふ。迷っても…ずっと一緒だから、怖くないね」


その笑顔、不意打ち。



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