Rest of my Prince
あいつらはずっとあんな調子だ。
互いを敵視しているのか、仲がいいのかよく判らねえ。
結局芹霞巡っての戦いも、緋狭姉に邪魔されて中途半端。
決着ついてもついてなくても、あいつらはあんな感じだと思う。
芹霞が永遠を誓った、過去の男と現在の男。
芹霞、お前面食いレベル高すぎだって。
顔の造作で"永遠"決めているのかって思う程、2人の美貌は半端じゃねえ。
迫力ありすぎて、見ている俺でさえ目はちかちかするし、妙な興奮がある。
俺は男色趣味はねえけど、あの2人に誘われたら思わずふらふら行っちまうような…催眠術のような美しさ。
ほらみろ、一般客だって惚けた顔して集まっている。
平生…持つ肩書きのせいか、隙を見せない櫂なのに、久遠がかかれば周囲の様子など目に入っちゃいねえ。
お前…いつもの冷静な『気高き獅子』はどうしたよ?
だからその間に、玲がにっこり微笑んで芹霞を掠め取り、それに気づいて慌てて芹霞を奪い返しに行くんだ。
何だか、そんな櫂を見ているのも面白いかも。
俺は――
風船手にしたまま、ぽつん。
俺だって遊園地が好きだ。
櫂が面白いものばかり考案したせいで、俺の好奇心はうずうずしている。
だけど大人だし、男だし。
櫂の護衛だから、櫂放って遊ぶわけにもいかねえし。
まあ…芹霞と2人だけなら絶対満喫していただろうけれど、目を離すといつも芹霞はいねえから、アトラクション楽しむ余裕もねえ。
いつも誰かと共に居て。
月2度しか会えないから、此処の住人と遊びたいの判るけどよ、お前…玲といすぎだよな。
"お試し"の最終日を邪魔されたことを根に持っているらしい。