Rest of my Prince

「……。プ、ププ…プロポーズ?」


益々赤くなった煌は…気化する寸前だ。


「煌、だからその赤い顔何とかしてよ、あたしまで赤くなるでしょ!!?」


「姉ちゃん、彼氏に惚れ込まれてるね~、もうでれでれだし」


「ははは、こいつは強面の奴で…ほら、しゃんとしなさいよ、情けない!!」


周囲に愛想笑いを返して、ぱしぱし煌の頬を叩く。


「プ、プププ…」


駄目だ…壊れやがった。


「ワンワン~!!!」


事態を知ってか知らずか、タクちゃんの声。


「ほらワンワン。子供が呼んでいるんだから、にっこり笑って手を振る!!! 仮にも今あたし達は保護者なんだからね!!?」


それはこの好奇なる眼差しから、逃れたい一心だったのだけど。


「へえ…どっちかが子持ち? 大変だねえ。だけどいい家族になると思うよ?」


その言葉に…


「家族…俺と芹霞と…子供…」


幸せ顔で、また奴は壊れた。


「しっかりしろ、煌!!! あたしを置いて逃げるんじゃない!!!」


あたし1人でどうするんだ、この人の群れ。


そう煌の肩わさわさと揺らしていた時、


「ねえ~、段階踏んで家族まで作っちゃったよ、アカ~」

「腑抜けた駄犬め。めっちりと精神を鍛え直しだな」


タクちゃんの後ろの、メリーゴーランド馬に、見慣れた色彩が。


ありえない。


絶対、彼らが…こんな不似合いな白い馬に乗っているはずがない。


これは幻。


そうに決まっている。
< 48 / 235 >

この作品をシェア

pagetop