Rest of my Prince
「……。プ、ププ…プロポーズ?」
益々赤くなった煌は…気化する寸前だ。
「煌、だからその赤い顔何とかしてよ、あたしまで赤くなるでしょ!!?」
「姉ちゃん、彼氏に惚れ込まれてるね~、もうでれでれだし」
「ははは、こいつは強面の奴で…ほら、しゃんとしなさいよ、情けない!!」
周囲に愛想笑いを返して、ぱしぱし煌の頬を叩く。
「プ、プププ…」
駄目だ…壊れやがった。
「ワンワン~!!!」
事態を知ってか知らずか、タクちゃんの声。
「ほらワンワン。子供が呼んでいるんだから、にっこり笑って手を振る!!! 仮にも今あたし達は保護者なんだからね!!?」
それはこの好奇なる眼差しから、逃れたい一心だったのだけど。
「へえ…どっちかが子持ち? 大変だねえ。だけどいい家族になると思うよ?」
その言葉に…
「家族…俺と芹霞と…子供…」
幸せ顔で、また奴は壊れた。
「しっかりしろ、煌!!! あたしを置いて逃げるんじゃない!!!」
あたし1人でどうするんだ、この人の群れ。
そう煌の肩わさわさと揺らしていた時、
「ねえ~、段階踏んで家族まで作っちゃったよ、アカ~」
「腑抜けた駄犬め。めっちりと精神を鍛え直しだな」
タクちゃんの後ろの、メリーゴーランド馬に、見慣れた色彩が。
ありえない。
絶対、彼らが…こんな不似合いな白い馬に乗っているはずがない。
これは幻。
そうに決まっている。