Rest of my Prince
煌Side
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「タク~~ッッ!!!」


幸せな未来に浸っていた俺を現実に返したのは、女の悲痛な叫び声。


ようやくガキの母親登場か。


丁度その時、メリーゴーランドが止まって。


「……?」


何だか赤色と青色が見えた気がするけど気のせいだな。


このメリーゴーランドには、ガキしか乗ってなかったし。


俺は立ち上がり、最後の役目としてガキを馬から下ろしてやった。


「タク~~、何でこんな処に!!!」


女が叫ぶ。


「あのねママ、このワンワンが~」


嬉々とした顔で俺を紹介しようとした時、


「あんたね、ウチのタクを誘拐したのは!!!」


憎悪の眼差しを喰らう。


「その頭の色!!! その顔!!! 見るからに普通人じゃないものね!!! この悪人!!! 警察に突きだしてやる!!!」


苛立った俺が口を開こうとした時、


「ちょっと待ちなよ、おばさん!!!」


芹霞が両手を腰に当てて、間に立った。


「タクちゃんが迷子になったのはあたしのせい。煌はずっと貴女を捜して、タクちゃんと遊んでいたの。煌を悪く言わないで!!!」


芹霞の目が据わっている。


「な、ななな!!! 私に意見する気なの!!? どう見てもその男の髪色と悪人面…」


「煌の素敵な橙色を悪く言うな!!! 煌の何処が悪人だって!!? 煌のことを悪く言う奴は、あたしが赦さないから!!!」



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