Rest of my Prince
俺、さ。
男で。
はっきり言って、こんな女くらいどうとでも出来るけどさ。
だけど。
惚れた女に守って貰うっていうの…凄く嬉しくて。
俺のコンプレックスの塊である髪の色。
それをこんな大勢の前で"素敵"だなんてさ。
お前俺にどうされたいの?
何処まで惚れ込ませたいの?
「おいおい、おばさんよ~。どう見てもそこの彼氏は純情でいい奴だぞ?」
「そうそう、公開プロポーズの最中に、誘拐なんて出来るわけねえって」
「私は、彼を信じるわ」
「私も」
「僕も」
更にさ。
俺囃し立てた連中までもが、俺を庇うなんて。
俺はいつだって他人を威嚇してばかりで。
絶対、理解されないと思ってきたし。
だけど。
芹霞と居れば…ああ、世界っていいものだなって思ってきちまう。
8年前に。
緋狭姉に拾われたのは、本当に運命だったんだなって思っちまう。
俺は血に塗れた男だけれど。
こうして血とは無縁な環境に居ることが赦されるのかなって気がしてくる。