Rest of my Prince
 玲Side
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また、視線。


何処に居ても2組の視線。


完全に気配を殺すことが出来る2人が、何故にここまで自らの存在を知らしめるのか。


意識的か?


「……ん」


無意識なはずはない。


"必然"以外に動くことなどありえない2人。


だとしたら――



「玲くん?」


間近に芹霞の顔があり、吃驚した僕は飛び上がった。



「なななな何?」



「驚かせちゃった? ごめんね」



だから、その上目遣い…やめてよ。


無意識に僕を煽るから、ほとほと困る。


無防備すぎるから、抱き締めて皆から隠しておきたくなる。


芹霞を想う男達の目が、追いかけてこないように。


それでなくても此処は、人が多すぎるから。


これ以上の恋敵、頼むから作らないでくれよ。


遊園地というものに、実は今まで行ったことがない僕。


次期当主だった頃は、紫堂本家でそれらしく振舞うことで一杯一杯でそんな暇なかったし、櫂が次期当主になってからは、僕は極力人前に出ることを避けた。


だから櫂が設計にも携わった此処は、物珍しくてついつい歩き回ってしまうのだけれど。


本当はずっと芹霞と回りたいけれど、そうも言ってられないだろう?


だけどずっと離れているのは…。


結局耐え切れなくなって、芹霞を奪うけれど…やっぱり櫂に奪われる。


あいつの焦った顔が面白くて、わざと…の部分もあるけれど、本気の部分もある。


辛いよね、櫂の想い人と添い遂げたいなんて、邪な欲望持つのは。


煌でさえ…イライラしながら我慢しているのに。


今の…僕の耐久力はあいつ以下かもしれない。

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